最終口頭弁論期日が開かれました。

令和3年3月1日(月)午後2時30分より、長崎地方裁判所に提起していた安保法制違憲国家賠償請求訴訟の最終口頭弁論期日が開かれました。

 

期日に先立ち、午後1時20分より事前集会が行われましたが、最終口頭弁論期日とあって、いつも以上にマスコミも集まり、熱気あふれる事前集会となりました。

「被爆地である長崎では、第二次世界大戦中、原爆の投下によりどれほどの被害を受けたか」

「そのような苦しい経験を経て、日本は“戦争は二度としない”と憲法で誓ったのに、その憲法は、いったいどこへいったのか」

「裁判官には、憲法問題にきちんと向き合い、“二度と戦争のない日本”を失わないよう、賢明な判断をしていただきたい」

いよいよ結審を迎える期日を前に、参加者より、熱の入ったスピーチがなされました。

 

口頭弁論期日では、原告と被告、それぞれが提出した書面について確認し、亡くなられた原告の方に関する訴えの取り下げに関する手続が行われた後、原告代表の築城昭平さんと、原告ら訴訟代理人弁護士2名による意見陳述が行われました。

原告代表の築城昭平さんは、戦前を知る被爆者の視点から、

「戦争で命を落とし悲惨な目にあうのは我々一般国民です。そのことは,76年前に経験済みです。

戦争になる,蟻の一穴も見逃さないよう,私も一生懸命です。そのことを理解して頂いて,私どもに良い判決をいただきますようよろしくお願いいたします。」

と、思いの丈を裁判所に訴えかけてくださいました。

なお、築城さんの意見陳述書はこちらです。

 

原告ら訴訟代理人弁護士の意見陳述では、

①すでに他県における訴訟で出された敗訴判決の考え方を採用したとしても、本件訴訟において憲法判断は避けられず、憲法判断をすれば「違憲」と判断せざるを得ないこと(いまや、日本人の命運は裁判官が握っていると言っても過言ではなく、憲法を学んできた者の「矜持と責任」がある限り、裁判官がこれを合憲だとすることはできない)、

②2017年の米朝危機等に鑑みれば、戦争の危険は直ぐそばに迫っていると言わざるを得ないことを述べた上、裁判所(だけでなく、国の代理人である訟務検事も含め)は、憲法を学んだ法曹・法律家として、思想信条はともかく、このように明白な憲法違反の法律がまかり通るのを放置してはならないのであり、法の番人としての責任を果たすべきであること、

などを訴え、弁論を締めました。

なお、訴訟代理人弁護士の意見陳述①はこちら、②はこちらです。

 

期日後に開かれた事後集会では、意見陳述を作成した吉田良尚弁護士、福﨑博孝弁護士、築城昭平さんが、それぞれが期日で陳述した内容について、概略を説明しました。

最終弁論ということもあり、会場にはいつも以上にたくさんの方にご来場いただき、コロナ禍ではあるものの、準備した席が足りないような状況でした。

 

平成28(2016)年6月8日に第一陣の提訴を行ってから、約5年を経て、令和3(2021)年7月5日(月)午前10時30分、いよいよ判決が言い渡されます。

裁判所には、原告らの声に真摯に耳を傾け、法曹として果たすべき役割をしっかりと果たしていただきたいと心より願ってやみません。