安保法制違憲訴訟控訴審 最終口頭弁論期日(結審)

令和5年2月28日に、福岡高等裁判所において、安保法制違憲国家賠償請求訴訟の控訴審・最終口頭弁論期日(結審)が開かれました。

本期日においては、原告から熊江雅子さん、関口達夫さん、原告代理人から太田久美子弁護士、森永正之弁護士、福﨑博孝弁護士の合計5名が最終意見陳述を行いました。

熊江さんは、 満州から、家族で引き揚げてくる際の壮絶な体験、子や孫が戦争に巻き込まれ、自身と同じ苦しみを味わうことになるのではないかと大変な危機感を抱いていること等を述べられました。

関口さんは、 2017年に北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返した当時、自衛隊は集団的自衛権を行使して、アメリカとともに戦うことを検討していたことなどを例に挙げて、「戦争被害の危険は抽象的なもの」と判断した長崎地裁判決は事実誤認であることを明らかにしました。

太田弁護士は、 被爆者である控訴人らが戦中・戦後にどのような悲惨な体験をし、また、戦争や新安保法制法に対してどのような思いを抱いているのかを知れば、控訴人らが受けている精神的苦痛がいかに大きいものかは明らかであり、国が主張するような「漠然とした不安感を抱いたという息を超えないもの」などでは決してないということを裁判官らに訴えかけました。

森永弁護士は、憲法9条の解釈に立ち返り、集団的自衛権の行使が違憲であることは明らかであり、暴走する政府や国会を立ち止まらせるのは裁判所の役割であることを述べました。

福﨑弁護士は、将来、仮に台湾有事・北朝鮮有事に誘発された戦争が勃発した場合、日本は新安保法制により可能となった集団的自衛権を行使し、日本全土が戦争に巻き込まれていくであろうこと、そして、裁判官を含む私達全員が、繰り返されるであろう悲惨な歴史の責任を負うことになるであろうことを、裁判所に認識するよう求めました。

 

意見陳述書【熊江雅子】

意見陳述書【関口達夫】

意見陳述書【太田久美子】

意見陳述書【森永正之】

意見陳述書【福﨑博孝】

 

次回は判決期日となります。引き続きよろしくお願いいたします。

 

判決期日:6月27日(火)午後2:30~