第14回口頭弁論期日

2020(令和2)年11月24日午後1時30分より、新安法制違憲訴訟国家賠償請求事件の第14回口頭弁論期日が開かれました。

第14回口頭弁論では、軍事評論家の前田哲男氏の証人尋問及び7名の原告の本人尋問が実施されました。

証人の前田哲男氏は、新安保法制による集団的自衛権行使の容認や敵基地攻撃能力の保有によって、専守防衛の原則を逸脱してしまっており、ひいては日本が戦争に巻き込まれる可能性が高まっていることを専門家の立場から説明されました。

元自衛官の原告からは、自衛隊は憲法9条の下で専守防衛に徹するという大前提を有するにもかかわらず、集団的自衛権容認によりその前提が崩されつつあること、後輩の自衛隊員らが戦争の危険にさらされていることを考えると恐怖や怒りがこみあげてくることなどが述べられました。

佐世保市に在住する原告からは、佐世保には自衛隊も米軍基地もあり、戦争や平和について意識する機会が多いこと、特に相浦駐屯地の水陸機動団の創設により佐世保が攻撃対象になるのではないかと不安を感じていること、新安保法制によって子供らの世代が戦争に巻き込まれるのではないかという強い恐怖を感じていることなどが述べられました。

大学で平和学の講義をしている原告からは、新安保法制が専守防衛の原則を逸脱することによって、却って東アジアの軍事情勢を緊迫させること、そして、仮に日本が北朝鮮などとの戦争に巻き込まれれば、日本海側にある原子力発電所が攻撃対象となり、甚大な被害が生じうることなどが述べられました。

被爆2世の原告からは、原爆によって自身や家族が悲惨な経験をしたことや、その体験を基に平和運動等に取り組んできたこと、平和運動を通じて憲法9条の価値を強く実感してきたことが話されました。そして、新安保法制が集団的自衛権行使を認めることにより、子や孫が戦争に巻き込まれ平和な日常を奪われるのではないかと恐怖していることが述べられました。

平和学習会を主宰している原告からは、平和な日本を子供たちに繋ぎたいという思いで平和学習会を開催してきたにもかかわらず、十分な議論や憲法改正手続きを経ないまま実質的に憲法9条を変更する新安保法制が成立し、自身の信念を踏みにじられたように感じていることが述べられました。

最後に、被爆体験者であり、被爆体験の講話活動等を行っている原告から、戦時下や被爆当時の凄惨な体験について真に迫ったお話がありました。そして、憲法9条こそが日本の平和の礎であること、裁判所には新安保法制の違憲性について公正な判断を下してもらいたいことが訴えかけられました。

今回の期日で、証人及び原告本人の尋問はすべて終了しました。次回期日で本件訴訟はの審理は終了となり、裁判所より判決期日の指定がされる見込みです。

次回期日は令和3年3月1日(月)となりました。いよいよ訴訟が大詰めを迎えておりますが、引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。