2019年5月20日(月)午前11時10分より、新安法制違憲訴訟国家賠償請求事件の第9回口頭弁論期日が開かれました。
第9回の期日では、原告側より原告準備書面(20)、原告準備書面(21)、原告準備書面(22)、原告準備書面(23)、原告準備書面(24)が陳述されました。また、証拠として甲B号証72~74及び甲D号証27~209(原告作成の陳述書)が提出されました。
原告準備書面(20)は、被告(国)が新安保法制の違憲性に関わる認否を明らかにしようとしないことを指摘し、裁判所から被告に対して認否を明確にするよう釈明権を行使することを求める書面です。
原告準備書面(21)は、原告らが被爆者、被爆2世、元教師、マスコミ関係者、幼い子供の親など、様々な立場から「戦争を絶対にしてはいけない」という平和への願いを有し、日本国憲法の平和主義の理念を人格形成の中心としてきたこと、そして新安保法制の制定・施行により原告らが気付いてきたアイデンティティが根底から否定されたことが陳述書に記載されていることを説明する文書です。
原告準備書面(22)は、元内閣法制局長官である宮﨑礼壹氏が作成した陳述書の内容を説明した書面です。宮﨑氏は、新安保法制が集団的自衛権の行使を容認するものであり、憲法9条に一見して明白に違反するものと考えざるをえないことなどを陳述書に記載されています。
原告準備書面(23)は、長年被爆者医療の研究に従事し続け、ご自身も被爆者である朝長万左男氏が作成した陳述書の内容を説明した書面です。朝永氏は、陳述書において、新安保法制の積極的平和主義は核兵器による戦争抑止論にも近似するものであり、核兵器廃絶を求める被爆者と日本国民を裏切るものであると指摘しています。
原告準備書面(24)は、軍事ジャーナリストであり、軍縮・安全保障論の教授を務めたこともある前田哲男氏の陳述書の内容を説明した書面です。前田氏は、陳述書において、新安保法制を「戦争法」と呼び、「戦争法」が専守防衛を実質的に放棄するものであること、「戦争法」施行後の自衛隊の動向等に照らして同法の違憲性が明らかであることなどを指摘しています。
上記の準備書面の内容を短くまとめた口頭弁論要旨もありますので、興味のある方は是非お読みください。
期日後、長崎地区労会館において報告集会が開催されました。
陳述書を作成いただいた朝長氏も報告集会にご参加くださり、新安保法制が朝長氏自身にとっても核廃絶運動の基盤が崩されるように感じたことなど、新安保法制違憲訴訟への思いをお話しされました。
札幌地裁では、証人尋問や原告本人尋問も行わず、新安保法制の違憲性については何らの判断もしないまま原告の訴えを退ける判決が出されました。裁判所に適切な訴訟の進行と判決を求めるためにも、一般市民が傍聴に参加し、不当な判決を許さないという態度をはっきり示すことが重要です。今後ともご協力をお願いいたします。
次回期日は2019年10月7日午前11時10分からです。